愛&ハート219号

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あいハート須磨3回連続シリーズ「認知症高齢者」と向き合う●「認知症高齢者」と向き合う●第二回目の今回は、平成二六年度の認知症ケア委員会の活動内容と認知症介護実践者研修について紹介します。認知症ケア委員....

あいハート須磨3回連続シリーズ「認知症高齢者」と向き合う●「認知症高齢者」と向き合う●第二回目の今回は、平成二六年度の認知症ケア委員会の活動内容と認知症介護実践者研修について紹介します。認知症ケア委員会は、「認知症高齢者の人権を守ります」を基本方針に、「1認知症ケアの理念を掲げる。2認知症ケアについて部門内で研修会を開催する。3認知症ケアの対象者を選定し、ニーズに基づく目標を設定し、サービス内容を協議してケアに反映する。4対象者について経過を記録しモニタリングと評価を行いながら、目標の達成を目指す。」の4段階に分けて取り組みを進めることとしました。理念は「この世に生をうけた人々が等しくその個性を持ったまま尊ばれ、共に生き共に認め合い支え合う〝笑顔あふれる施設づくり?を目指します」を掲げました。部門内研修は認知症への理解を深めるために、全職員を対象に全4回開催しました。どの段階も試行錯誤を繰り返しながら取り組みましたが、特に苦労した点は3と4です。例えば、帰宅行動のある方に対して、どのようなケアを行うのか。単に何かお手伝いをしてもらい気を紛らわせれば、一時的には落ち着かれるかもしれません。しかし、それが本当にその方が望まれていることなのか。それは違います。何故そのような行動に出るのか。「何故」を繰り返しながら、その行動の背景に目を向け続けることがアセスメント(課題分析)であり、ケアの内容を記録に残し、全職員で共有することこそがケア統一(チームケア)とより良いケアにつながると考えています。一年目の取り組みとして、アセスメント能力(コミュニケーション能力)不足、記録方法に課題が残りましたが、これは介護実践者研修に参加して改めて学ぶことができたことです。認知症介護実践者研修は、全8回の講習と外部実習、自施設での実習、報告会となっています。全8回の講習は主にグループワーク形式で、自分たちで考え、同じ方向に向かって進む大切さを学びました。講師の方が認知症ケアで必要なことは「“気づき”を築く」ことであると言われていたのがとても印象に残っています。また、他施設での実習では丸1日、一人一人のご利用者と密に関わらせて頂いたことで、初心に戻ったような気持ちになりました。研修での学びを活かし、四週間の職場実習に入りました。対象者に選定したMさんは入居して4年、時折不安な気持ちになってフロア内を歩き回ることがあります。Mさんの行動から理由を探るべく、アセスメントの強化を図り、表出される言動に対して、職員が行動の理由を理解し、統一したケアを実施することでMさんに心身共に安定した生活が送れるよう、そして、職員が成功体験を経験し、コミュニケーション能力を向上させることを目標に取り組みを開始しました。アセスメントは全職員に実施してもらいました。実施にあたり、職員の協力を得られるか多少の不安がありましたが、その不安はすぐに解消されました。職員一人一人がMさんに対しての想いや経験則を持っていたのです。これまでケアの統一がなされなかったのは、それらを共有し、どのようなケアが適切であるかを考えてこなかったからだと気づきました。Mさんのケアを見直すことで、Mさんは穏やかに過ごされ、不安な気持ちで過ごす事も少なくなりました。職員もまた、以前より意識的に関わりを持つようになりました。今後もこの経験を活かし、より良いチームケアを目指し続けていきます。2特養主任東根恵子認知症高齢者の人権を守ります26 2015年11月219号愛&ハート