愛&ハート237号

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概要:
 前回、イギリスのEU離脱やスペインのカタルーニャ州の独立など、近年、「エゴ」を感じる機会が増えていることに触れながら、厚生労働省が提示した「地域共生社会」の概念と全電通近畿社会福祉事業団が法人理念で「....

 前回、イギリスのEU離脱やスペインのカタルーニャ州の独立など、近年、「エゴ」を感じる機会が増えていることに触れながら、厚生労働省が提示した「地域共生社会」の概念と全電通近畿社会福祉事業団が法人理念で「共生社会をつくる」ことを「使命」としていることを紹介しました。更に、理念の実現に向けて「共生」を考える必要性、実践を通じて「寛大・寛容な風土」を醸成することで、身近なところから少しでもエゴが解消されればという想いをお伝えしました。今回は、「共生」を考えるにあたり、まずは概念を整理したいと思います。 「共生」とは、もともとは生物学の用語で「異種の生物が相互作用を通じて共存している関係」を言いますが、注目されるようになったのは、概ね1980年代後半からです。環境問題が深刻化する中で、「自然・環境」と「人間」の「共生」が提唱されたり、政府の政策においても「共生社会の構築」や「多文化共生」が取り上げられるなど、生物の現象から社会を考えるための用語に転用されたことが大きな要因の一つと言われています。 また、「共生社会」と言うときには、「自然・環境」と「人間」というよりは、「人間同士」の共生という要素が重要になります。「共生」は「異種」を前提にしているため、生物的には同種の人間を何らかの基準で異質なものとして捉えることで「共生」を考えることになります。人間の異質性しては、人種・性別・年齢(世代)・資産の水準などさまざまです。これらは、全て「社会的カテゴリー(社会現象を整序する枠組み)」によるもので、移民の増加による多民族共生の問題やジェンダーの問題、高齢化問題、格差問題として取り上げられています。 岡本智周氏によると、「共生」とは「あるもの」と「異なるもの」の関係性を対象化して、両者を隔てる社会的カテゴリーを、今あるものとは別のものへと組み直す現象であるとしています。社会の中に様々な違いがあることを認め、かつそれを前提としたうえでまとまりを志向することで、各個人のなかの認識の枠組みが更新されるということです。そして、新たに組み直された認識の枠組みも、なんらかの排他性を帯びることは避けられませんが、その「排他の事実」を認めつつ、暫定的なものとしての「社会的カテゴリ」の更新を限りなく重ねていくことが、行為水準における社会的共生のプロセスであると説明※しています。次回は、あいハート須磨における共生の状況を紹介したいと思います。あいハート須磨施設長森本 光弘※「共生の社会学」本書のねらい (共生の論理の社会学的探究)より 平成27年5月より、理学療法士を配置し、機能訓練(リハビリ)を開始しました。当初は、専用スペースや機材もなく、あるもので機能訓練を実施していました。月日が経つにつれ希望者も増え、効果も目に見えて現れてきました。しかし、平成30年の介護保険改正では、「自立支援」「重度化予防」が重視され、これまでの訓練内容では不十分ではないかと思い始めました。今後の情勢やご利用者、ご家族等の要望にも対応でき、満足度や機能向上にも繋げることが課題となり、須磨デイサービスの今後の方向性を考え、平成29年度から、リハビリルーム設置とリハビリ機器の検討に着手することとしました。 平成30年4月の運用開始を目標に、理学療法士とともに場所と機材の検討を行いました。場所に関しては、デイフロアに隣接する倉庫を改修する事で決まりました。機能訓練で使用する機材(マシーン)については、ご利用者の身体状況や実際に使えるものを専門職の知識を活かして選定、マシーン三台と平行棒を導入する事となりました。筋力強化を目的としたプログラムのみではなく、身体各部の使っていない筋肉をまんべんなく動かすこと(再活動化)により、動作性・体力の改善、心理的活動性の改善も図ることができます。これらのマシーンの力も借りながら、元気に楽しく身体を動かし、そして、在宅生活を継続して頂けるように、デイサービスで求められる役割を果たして行きたいと思います。「共生」を考える②機能訓練室開設デイサービス部門長 仙波 剛機能訓練を開始6 2018 年11 月 237 号 愛&ハート